ありゃりゃサンポ

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共同印刷新本社ビルからの出版事情


修理した自転車に乗って都心部に向かっていたら共同印刷の新しい本社ビルがほとんど完成していました。文京区小石川。播磨坂の坂の一番下のあたりです。

いやー。思ってたより全然かっこいい。どうせまた四角い高層ビルになるんだろうくらいに思っていましたが、地上7階、高いところで35mです。
まさかここからにょきにょき空に伸びて行ったりしないよね。しなさそうです。
なんと言っても素晴らしいのが長年見ていた元の本社ビルの形をしっかり活かしていること。以前はこんなんでした。

この写真は2018年。「谷端川跡を往く」の時のものです。やはりこの特徴的なカーブは残したかったか。
さきほど書きましたが桜の名所である播磨坂の下で、道の反対側には小石川植物園が広がります。ここに高層ビルができるとずいぶん風景が変わるところでした。
植物園の芝生からも至近距離ですごく邪魔になったと思うのでこの高さを抑えた設計は英断です。設計は清水建設プロジェクト設計部。
こんなことを言ってはアレですが、以前の暗くて古いビルの頃より町全体のクオリティが格段にアップしたように感じました。珍しく良い再開発だったと思いました。
印刷会社なんてどこも青息吐息と思っていましたが、意外とお金あるんですね。

共同印刷の後で東五軒町のトーハン本社の前を通りかかったらこちらは本社ビルをパネルで覆って解体中でした。この信号を渡ってしょっちゅう行っていたトーハン本社。

そして解体中の大きなビルの脇に今年5月に移転オープンした新たな本社ビルがありました。黒いガラスウォールで囲まれた部分とその右のコンパクトな5階建てビル。
元々トーハン本社は各出版社の本や雑誌を納入してもらい、ここで区分けして書店に配送するという取次作業の現場でもあったのでかなり広大なスペースを必要としました。
大型トラックが毎朝わんさか集まるような場所です。その機能が全て郊外の大型のセンターに集約されたのでここにそれほど大きなスペースはいらなくなったんですね。
空いた土地はどうするのかな。

首都高を挟んでトーハンと向かい合う凸版印刷の小石川ビル。さきほどの共同印刷は住所も小石川ですが、凸版のビルは住所でもないのにトッパン小石川ビルという名称です。
かつてはここが東京15区の時代の小石川区だったので意味もなくそう呼んでいるわけでもないです。

先日大日本印刷の本社内の博物館を見学して、この日、共同印刷と凸版印刷とトーハンの本社を見ました。一か月の間に出版印刷の大所をまとめてみた感じです。
長らくそのギョーカイにいたのでついつい目に入ってしまうのですが、苦しい状況の中で各社なんとか生き残ろうとがんばっている様は見ていて少し救われた気がします。